The SALOVERS「珍文完聞 -Chin Bung Kan Bung-」~初期衝動でしかない~


The SALOVERS珍文完聞 -Chin Bung Kan Bung-」(2012)

2012年メジャーデビューの四人組バンド The SALOVERS のメジャー1stフルアルバム。
ボーカルがアナウンサーの古舘伊知郎さんの息子ということで少し話題になった。
このデビューアルバムはいしわたり淳治さん(元スーパーカー)がプロデュ―ス。
まさに、初期衝動のアルバム。というよりも、初期衝動でしかない。


跳ねるカッティングが終始鳴り響く、ほぼインストの「ビオトープ -生物生育空間-」
終わりの方で、「生物空間」と繰り返すだけの曲。
正直、必要無い気も。もう少し短ければ、まだ良かったのに。

不器用に「君」を手に入れたいと歌う「チンギスハンとヘップバーン」

「馬鹿で単純だったら 落ち込んだ時が俺のチャンスに変わるのに」

まあ、ゲスいのだけれどもチャンスは生かさないといけないよね。
タイトルの意味不明さが面白い。

台湾への憧れを思う存分語る「オールド台湾」

「オールド台湾 行ってみ台湾 正に理想の国」

ダジャレを挟みながら、台湾への想いを熱く歌う。どうして、こんなに台湾が好きなんだろう?
曲に合ったアジアンテイストのギターソロが聴き所。

リズムの起伏が激しい「サイケデリックマリー」
今度は「マリー」が登場。外国へのコンプレックスを感じるけれども。
スローになったり、テンポアップしたり忙しい曲。

港の風景が思い浮かぶバラード曲「雨降りのベイサイド」
正直、ボーカルの古館さんは歌が上手くないけれども、なぜかバラード曲の方が上手く聞こえるという不思議。
しかし「アイレイ」ってなんだろう? 何かの合言葉ですかね。

ピアノの弾き語り曲「サイゴンで踊ろう、雨のダンス」
ダンスと曲名に入っているが、踊れる曲ではない。
優しいピアノの音色に乗せてしっとり歌いあげる。
今度は「サイゴン」ですか。本当にアジアが好きなんですね。

アップテンポのダメ大学生賛歌「仏教ソング」

「最近の女がよく読んでいる 本を本屋で偶然見つけて読んだけど くそつまんない本だな」

一応読んでみるあたりが真面目なんだなと思う。
こういう曲は若くないと歌えない。

欲望のままに動く自分をサルと揶揄する「サルたち」
ラストの歌詞がギリギリのラインで攻めてる。

チャイナ風のサウンドとキャッチーなサビが耳に残る「ディタラトゥエンティ」
若さを失うことへの焦燥をぶちまけた楽曲。

「誰かを求め彷徨っていたのは 僕らは一人だけじゃ夜明けを迎えられないからだ」

人間は本当に弱い。一人じゃ決して生きられない。
それは若くても、年を取っても同じ。助け合いながら生きていく。

ストレートに愛を歌うミドルテンポのラブソング「愛しておくれ」
サビのフレーズ「愛しておくれよ」のメロディへの乗せ方が強引すぎて、逆に新鮮。
自分では言えないのに、人のそれを求める傲慢さ。これが若さなのかな。

サビの歌詞が意味不明すぎる「何処かの土地に」
女性コーラスがあったりと、ポップな仕上がり。
しかし、ラストの曲も「何処かの土地に」って、もはや日本が嫌いとしか思えない。


アルバムを通して、青い。衝動を抑えられなくなって、空回りしてる感。
歌い方にもそれが出ていて、スローな楽曲は力みなく歌っていて自然なんだけど、
アップテンポの楽曲は歌声に力が入りすぎていて、聞き苦しく感じる所も。
歌詞に関しては、「衝動」をそのまま歌にしている。
特に、海外への憧れがよく歌われる。彼らにとって、日本はそんなに生きにくいのだろうか。

まさに、未完成のバンド。この荒削りさは、デビュー時から完成度が高いバンドが多い現代では、逆に貴重。
このアルバムの発売が2012年。その後、アルバムは発売していない。
ライブ活動は行っているようだが、そろそろ成長した彼らのアルバムを聴いてみたい。
凄く好きではないけど、なぜか彼らの将来が気になる。
若さを歌った人達は、年を取ってどうなるのだろうか・・・。

評価:C

① ビオトープ -生物生育空間-
② チンギスハンとヘップバーン
③ オールド台湾
④ サイケデリックマリー
⑤ 雨降りのベイサイド
⑥ サイゴンで踊ろう、雨のダンス
⑦ 仏教ソング
⑧ サルたち
⑨ ディタラトゥエンティ
⑩ 愛しておくれ
⑪ 何処かの土地に

(下記リンク先より試聴できます)
Chin Bung Kan Bung - The SALOVERS



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テーマ : 男性アーティスト
ジャンル : 音楽

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プロフィール

S.S

Author:S.S
1990年生まれ。愛知県出身。東京都在住。
音楽に生かされている人間です。
どれだけ続くかわかりませんが、邦楽のアルバムレビューをしていきます。

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