藍坊主「ハナミドリ」~青春の終わりと、哲学~


藍坊主ハナミドリ」(2006)

2004年メジャーデビューの4人組バンド 藍坊主 の3rdフルアルバム。
このアルバム発売前までは、いわゆる青春パンクと呼ばれるジャンルに属していた彼らだが、
このアルバム以降、独自の世界観が特徴のギターロックを鳴らすバンドとなった。
バンド名からは想像できないほど、繊細な世界観を描く。


春の訪れを感じさせる爽やかなギターサウンドが特徴の「桜の足あと」
擬音語を上手く使った歌詞が印象的。語感の良さが気持ちいい。
桜が散って、空に舞っていく風景が思い浮かんでくる。

物語風の歌詞が印象的な人気曲「テールランプ」

「神様一つ聞いてくれよ 風切る足を僕にくれよ」

なぜここまで、切実に神様に願いを求めるのか。答えを知りたい方はこの曲を聴いてみてください。
Cメロからの加速するギターソロの流れが完璧。非常に完成度の高い楽曲。

「スプーン」を題材にしながら、幸せを歌う「スプーン」

「ずっと ずっと 大事にするよ 「あたりまえ」という「しあわせ」 」

ずっとこんな平凡な日々が続くと、僕らは勝手に思い込んでいる。
この「あたりまえ」に感謝していこう。

矢継ぎ早に聴きなれない単語が飛び交う「ハニービースマイル」
アウトロの電子ドラムのような音が癖になる。

大切な人と別れ、過去を思い出す「コーヒーカップと僕の部屋」
繊細なアルペジオが響き渡る一方で、ギターソロは緊張感あるプレイになっているのが特徴。

いままでの雰囲気とは違った、不思議な空気感の「0」
淡々と刻まれるギターカッティングが不気味。

「1、3、7、9を抱え、0に語る」

ボーカル佐々木さんの哲学的な歌詞が特徴。しかし、何のことを言っているのか全く分からない。

ギターのアルペジオと美しいピアノの音色が絡み合う「ジムノペディック」
藍坊主の楽曲の中でも、人気のある曲。僕もこの曲は名曲だと思う。
佐々木さんが描く、音楽的造詣の深さがにじみ出た歌詞と、
終始、緊張した雰囲気がマッチした美しい楽曲。

キャッチーなサビと、心を曝け出す歌詞が印象的な「泣いて」

「我が道を行くことと わがままの違いを僕は無視してた」

このフレーズは中々、考えさせられる。何がポイントとなって、違いがあるんだろう。
他人の事を考えられる余裕があるかどうかだろうか。難しい。

このアルバムで最も攻撃的なサウンド「ベンチで手紙を読む老人」
小説的な歌詞の世界観。ワウを用いたギターソロが格好いい。
とにかく、最後のフレーズに尽きる。

「LIFE IS BEAUTIFUL!」


不思議な世界観の歌詞が目立つ、ミドルテンポナンバー「柔らかいローウィン」
「ローウィン」とは「光が揺れる音」のことらしい。説明を書いても、よくわからないけど。
どこで、こんな用語を知るのだろうか。

ラストは地元について歌った「マイホームタウン」

「マイホームタウンはマイペースタウン 世界中のどこよりも 僕が僕でいられる場所」

こういう感覚は、一度地元を離れた人でしか分からない。
「僕が僕でいられる場所」というほど、地元に対して思い入れはないけど、やはりたまに帰るといいなとは思う。


アルバムジャケットのイメージとピッタリな爽やかな楽曲達。
歪ませすぎないギターサウンドを軸に、疾走感ある曲から、心温まる曲まで、様々な楽曲が収録されている。
本当に、以前は青春パンク路線だったのかと疑うほど、精細な音楽。
以前からのファンは離れたかもしれないけど、間違いなく新たなファンを獲得したのではないか。

さらに、ボーカル佐々木さんの書く歌詞がより独創的になってきた。
哲学的で、正直、理解できない歌詞もあるけど、この路線にシフトしたからこそ、
藍坊主は2014年現在も活動を続けていられるのだろう。

ここまで、路線変更が上手く成功した例は珍しい。
青春パンクという言葉自体が2014年現在、死語になっている事を考えると、絶妙なタイミングでの路線変更。
このアルバム以降、さらに独自の世界観を作り出していく藍坊主だが、
このアルバムはファンに人気の高い楽曲が複数収録されており、
藍坊主を初めて聴く方にはオススメの一枚です。

評価:A

① 桜の足あと
② テールランプ
③ スプーン
④ ハニービースマイル
⑤ コーヒーカップと僕の部屋
⑥ 0
⑦ ジムノペディック
⑧ 泣いて
⑨ ベンチで手紙を読む老人
⑩ 柔らかいローウィン
⑪ マイホームタウン

(下記リンク先から試聴できます)
Hanamidori - 藍坊主



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テーマ : 男性アーティスト
ジャンル : 音楽

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プロフィール

S.S

Author:S.S
1990年生まれ。愛知県出身。東京都在住。
音楽に生かされている人間です。
どれだけ続くかわかりませんが、邦楽のアルバムレビューをしていきます。

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