サカナクション「kikUUiki」~混ざり合って、溶け合って~


サカナクションkikUUiki」(2010)

北海道出身の5人組バンド サカナクションのメジャー3枚目のフルアルバム。
シングル「アルクアラウンド」がスマッシュヒットし、知名度を上げた彼らが選択したのは、
自分たちのルーツ音楽をしっかりと世間に知らしめることだった。
ポップ、ロック、テクノ、ダンス。様々なモノが混ざり合う「汽水域」の世界。


まずはインスト曲の「intro = 汽空域」
街の雑踏、人の話し声、音楽の断片。様々な音が収録。

壮大なコーラスが響き渡る「潮」

「激しく胸打つ思想に 踊らされ生きてきた」

ここで言う思想がどういったものかがいまいち分からない。
山口さんの書く歌詞は抽象性が高いものが多い。

良い意味で軽いドラムが刻むリズムに身体を揺らされる「YES NO」
毎日毎日、イエスとノーを繰り返して生きている僕達。
その選択に対して意味はない、顔を上下に揺らしているだけ。

彼らの知名度を一躍高めた代表曲「アルクアラウンド」
淡々としたAメロに絡むテクノサウンド。一方で、感情を高ぶらせる勢いのあるサビ。

「この地で この地で 終わらせる意味を探し求め また歩き始める」

北海道から上京して、東京で音楽をやっていくんだという決意に満ちた歌詞。

シンプルなギターストロークが印象的な「Klee」
彼らの楽曲の中では、ギターロック色が強い楽曲。
ラストの「始まりです」の連呼が余韻を残す。

テクノサウンドを強く押し出したインスト曲「21.1」
ちょっと長すぎるかな。

和風な雰囲気が漂うスローナンバー「アンダー」

「今正しい言葉や嘘や全ての裏 いつか手に入れた時 僕は叫びだす」

全てを手に入れる必要なんてない。
むしろ、知らない方がいい事が世の中にはたくさんあるんじゃないだろうか。

物寂しげに歌う山口さんの歌声が刺さる「シーラカンスと僕」
自分を深海魚のシーラカンスに例えた歌詞。
東京という慣れない環境で、所在なくうろうろする姿を描いている。

四つ打ちのリズムとエレクトロなサウンドが耳に刺さる「明日から」

「僕らは流されてゆくよ 「明日から」って何もかも捨てて」

中々自分の意志を貫くのは難しい。
「明日から」って言い訳をして、人に流されてしまう。

ギターのカッティングが気持ちいい「表参道26時」
サビを草刈さん、岡崎さんという女性コーラス陣をメインに持ってきた。
彼ららしい、ギターサウンドとテクノサウンドが心地よく絡まった楽曲。

何となく、くるりっぽい印象を受けた「壁」
どこか寂しげな日常を映した歌詞が印象的。
サウンド面ではアコギで始まり、徐々にバンドサウンドへという王道の展開。

本作のリードナンバーである「目が明く藍色」
制作に相当苦労した楽曲だそう。
オペラパートや難解なリズム、エモ―ショナルな熱唱を聴かせるラストなど複雑な構成。
彼らのやりたい音楽を詰め込んだ会心の楽曲。


最初の印象は、「アルクアラウンド」のイメージを持って聴いたので、全体的に地味な印象を受けた。
しかし、繰り返し聴いてみると、緻密に作り上げたサウンドから、彼らの職人的な部分が垣間見える。
どの曲も平均点には達しているけど、「アルクアラウンド」や「目が明く藍色」の印象が強すぎるのは否めない。

「アルクアラウンド」がヒットした段階で、
次のアルバムはこの曲のようなライブ受けする曲を中心にするという選択肢もあったと思う。
しかし、彼らが選んだのは、自分たちが強く影響を受けてきたテクノサウンドをロックと混ぜ合わせる事。
リスナーに媚びるのではなく、自分たちの表現したいものを表現するという、当たり前のことを当たり前にやった。
その結果、「メジャーだけどマイナー」な感じという独特のポジションを手に入れ、遂には紅白にまで出場する。

このアルバムは、最高傑作ではないが、サカナクションというバンドの方向性を提示したアルバム。
様々なジャンルが混ぜ合わしつつも、ポップな世界を泳ぐように生き抜いていくという決意表明の一枚。

評価:B

① intro = 汽空域
② 潮
③ YES NO
④ アルクアラウンド
⑤ Klee
⑥ 21.1
⑦ アンダー
⑧ シーラカンスと僕
⑨ 明日から
⑩ 表参道26時
⑪ 壁
⑫ 目が明く藍色

(下記リンク先から試聴できます)
kikUUiki - サカナクション



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Author:S.S
1990年生まれ。愛知県出身。東京都在住。
音楽に生かされている人間です。
どれだけ続くかわかりませんが、邦楽のアルバムレビューをしていきます。

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