BUMP OF CHICKEN 「COSMONAUT」~安らかに眠るには、まだ早い~


BUMP OF CHICKENCOSMONAUT」(2010)

完全に宇宙のイメージが板についてきたBUMP OF CHICKEN。
そんな彼らのメジャーデビュー後4枚目のフルアルバムが「COSMONAUT」である。
以前のような胸をえぐり取るような熱さはなくなり、そっと寄り添うような優しさに満ちた作品。
藤原さんの歌い方も、張り上げるようなものではなく、語りかけるようになった。
これを進化と取るか、退化と取るか。


印象的なアルペジオのイントロから始まる「三ツ星カルテット」
アレンジが非常に洒落ており、そこに荒々しかったかつての姿はない。
メンバーがみんな30代になったのだから、変化は当然だが。

童話的な世界観「R.I.P.」
サビでは、藤原さんの裏声が印象的。以前だったら、そこで声を張り上げるんだろうなあ。

「変わっていくのなら 全て見ておきたい 居なくなるのなら 居た事を知りたい」

BUMPが変わっていく過程をファンは見てきた。そして、過去の方が良かったと言う人もいる。
だが、もう戻ることはない。変化をリアルタイムで見れたことに喜びを感じる必要があるのか。

小学校の頃を思い出してしまう「ウェザーレポート」

「我ながら卑怯な言い訳 痛みを知るのがただ怖いだけ」

いままで、その痛みを引受けながら歌ってきたのがBUMP OF CHICKENというバンド。
かつての強気な姿勢は見られない。

前作の「かさぶたぶたぶ」を思い出す「分別奮闘記」
藤原さんはごみ出しするときに、こんなことを考えているのか。
こういう曲はシングルのカップリングか、隠しトラックで収録してほしいんだよな・・・

跳ねるギターリフに、シュールな歌詞が乗る「モーターサイクル」

「あぁ外野は放っとけ そもそも大した事言ってない」

この頃のBUMPは昔の方が良かったなどと、さんざん言われていた時期だった。
そんな人たちを揶揄するような歌詞。でも、言いたくなってしまうファン心理も理解できる。

この曲のギターフレーズは格好いい「透明飛行船」
Bメロのチョーキングを用いたフレーズが特に良い。

「多分平気なふりは人生で わりと重要なスキルだと思う」

これも前曲に繋がるフレーズ。
外野の声を気にし過ぎては、動けない。何でも人の言う事を聞く人は、大体つまらない。

NHKの「みんなのうた」に使用されたことで注目された「魔法の料理 ~君から君へ~」
最初聴いたときは、藤原さんのソロ曲かと思った。
歌詞が狙い過ぎな感はあるが、懐かしさを感じるメロディに作曲家としての藤原さんの力を感じる。

ハンドクラップあり、サビのリフレインありのポップな「HAPPY」
流石に、「Happy Birthday」の繰り返しは安易すぎやしないだろうか?
ある意味、新鮮だけども。

「勝ち負けの基準も解らない だけど確かに守るものがある」

本当に守るものがあるときに、勝ちだとか負けだとか考えて動くものだろうか。

ありそうなメロディなのに、新鮮な感じがする「66号線」
優しいメロディに、優しい藤原さんの歌声。
この曲はこのアルバムの中では好き。単純にメロディが好み。

「どれくらい」の繰り返しが印象に残る「セントエルモの火」
隙間埋めるように詰め込んだサウンド。演奏スキルは間違いなく上がっている。

「今どんな顔してる ちょっとしんどいけど楽しいよ」

心から楽しんでほしいものなんだけど。

ゴスペルっぽいコーラスが印象的な「angel fall」
面白い試み。まさに、アルバム曲らしい曲。

このアルバムのリード曲「宇宙飛行士からの手紙」
この曲は、ライブ映えしそうな気がする。特に、会場が大きければ尚更。

「出来るだけ離れないで いたいと願うのは 出会う前の君に 僕は絶対出会えないから」

ミュージシャンは大変だと思う。作品は後世まで残っていくので、過去作品にも出会えてしまうんだ。
逆にバンド側は出会う前のファンのことは知らないだろうし。

Aメロのリズムが独特な「イノセント」

「信じなくていい 手は挙げなくていい 認めなくていい 全て君が正しい」

清々しい程の全肯定。この曲の歌詞は、凄く生命力を感じる。
全てを受け入れる覚悟を歌にした、名曲。

ラストは、お得意のアルペジオが響き渡る「beautiful glider」
もがき苦しむ歌詞は、藤原さんが以前から歌ってきたものと変わらない。
しかし、サウンドが綺麗すぎるのが、どうしても違和感を感じてしまう。


このアルバムで初めてBUMPを聴く人だったら、おそらく「良いアルバム」だと言うはず。
しかし、昔からのファンには物足りなさを感じるのでは。
このアルバムを聴いて、心が震えるかと問われれば、NOと答えざるを得ない。
僕にとってBUMPは数少ない心を震えさせてくれるバンドだったので、正直残念な気持ち。

歌詞の面から考えると、少年の頃の思い出を歌った歌詞がどうしても好きになれない。
以前から、物語性のある歌詞は多くあったけど、その多くはフィクションだった。
しかし、このアルバムに描かれる過去を思い返す歌詞は藤原さんの実体験が元になっていると思う。
おそらく、その世界観が僕の幼少期の記憶と大きくかけ離れているのがハマれない原因。
もう少し、年を取って子供が出来たりしたら、印象は変わるかもしれないけど。

BUMPの中では最も聴いていない作品。とにかく、優しすぎる。
シングル曲の時点で、こういうアルバムになることは予想できたけど、実際に発売されるとやはり物足りない。
2曲目に「R.I.P.」という曲があるけど、この曲がこのアルバムを象徴している。
「安らかに眠れ」というメッセージ。まだ、安らかに眠るには早いよ。

評価:C

① 三ツ星カルテット
② R.I.P.
③ ウェザーリポート
④ 分別奮闘記
⑤ モーターサイクル
⑥ 透明飛行船
⑦ 魔法の料理 ~君から君へ~
⑧ HAPPY
⑨ 66 号線
⑩ セントエルモの火
⑪ angel fall
⑫ 宇宙飛行士への手紙
⑬ イノセント
⑭ beautiful glider

(下記リンク先から試聴できます)
COSMONAUT - BUMP OF CHICKEN




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テーマ : 男性アーティスト
ジャンル : 音楽

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プロフィール

S.S

Author:S.S
1990年生まれ。愛知県出身。東京都在住。
音楽に生かされている人間です。
どれだけ続くかわかりませんが、邦楽のアルバムレビューをしていきます。

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