それでも世界が続くなら「もう君はいい人じゃなくていい」~音楽を聴きたくない人にこそ聴いてほしい~


それでも世界が続くならもう君はいい人じゃなくていい」(2014)

2013年メジャーデビューの4人組バンド それでも世界が続くなら のメジャー2ndフルアルバム。
Syrup16gやART-SCHOOLらの影響を受けたと思われる暗めな楽曲が特徴。
このアルバムを最初聞いたとき、全くピンとこなかった。前作と比べて優しすぎるなと。
しかし、嫌なことがあった帰りにこのアルバムを聴いたら、すんなり入ってきた。
「音楽を聴きたくない人にこそ聴いてほしい」という紹介文は間違ってない。


ミドルテンポのギターポップ「優しくない歌」でアルバムは始まる。

「何かを壊してしまうよりも 作ることは どうして難しいんだろう」

壊すのは一瞬でできるけど、作るのには時間がかかる。
簡単に人を傷つけることはできるけど、癒すのには難しい。優しく生きていこう。
アウトロのノイズがかかったギターフレーズ良いね。

キラキラしたギターフレーズを軸にしたポップなサウンドが特徴の「明日のハッピーエンド

「明日は 今日も明日のまま」

暦の上では0時を迎えれば明日は来るのだけれど、自分が変わらなければ同じ日々が続くだけ。

疾走感で駆け抜けるシングル曲「僕らのミュージック

「少しは役に立てよミュージック」

「音楽の力」ってどんなもんなんだろう?
音楽なんて全く聴かないよという人もいれば、僕みたいに音楽ばかり聴いている人もいる。
無くても良いけど、あったら人生に彩りを与える。そんな存在が音楽。

キレのあるギターリフが繰り返される「無自覚なプラットホーム
いじめをテーマにしたと思われる歌詞。
限られた自由の中で僕らは生きているらしい。

個人的にメロディが好きな美メロナンバー「水たまりの成分
人は傷つけあいながら生きているという歌詞。
「水たまり」=「涙」ならば、涙の成分は誰かの悪意か。

寄り添うように優しい「普通の歌

「その普通で僕等は狂いそうだ」

「普通」に憧れるんだけど、「普通」でいることが一番難しいという。
他人の目を気にしないで生きていけたら、幸せなんだろうけど。

強烈なフレーズが刺さるアップテンポの楽曲「優先席

「どうせそうやって終わるなら やりたいことやって 死ねよ」

人生が一回きりしかないということを真摯に受け止めなければならない。
そう考えたら、時間を大切にして生きていけると思う。

イントロのアルペジオが印象的な「白紙の地図
ラストのロングトーンシャウトが胸に迫る。

曲名通り音合わせのようなイントロから始まる「サウンドチェック
このアルバムで最も激しいパンクな楽曲。

前曲とは変わってスローな「奇跡

「学校でもネットでも 教えてくれない様な 本当のことを 僕らは知りたいんだ」

これだけ情報化社会になっても、ノイズが増えただけで、真実の数は変わらない。

ストレートなギターロックナンバー「無罪と罰
間奏の後の「どうして」を連呼する部分は迫力がある。

自己嫌悪を繰り返す「自己嫌悪のターミナル

「誰かが言ってたな 幸せな人は 幸せだと感じてる人のこと」

一見当たり前のことのようだけど、自分が幸せだと感じている人なんてどれくらいいるのだろう?
周りから見たら幸せそうだけど、心に深い闇を抱えて生きている人も多いはず。
結局、幸せを決めるのは自分自身ということか。

ラストは篠塚さんの音楽への想いが表現された「2月11日

「音楽は ここにあるだけで素晴らしい」

このアルバムのラストを飾るフレーズ。
それでも世界が続くなら が音楽を作りづづける理由がこの曲で描かれている。


サウンドは普通の音。ありきたりなギターロックの範疇を超えることはない。
しかし、あえて「普通」の音を作っているように思う。
小細工なしで、普段着の自分を表現する。自分を良く見せようとか、そういう考えを全く感じない。
この「普通」さがこのバンドの最大の魅力なのかもしれない。

歌詞に関しても、ボーカル篠塚さんが感じていることを包み隠さず吐き出す。
シャウトしたり、優しく語りかけたり、決して上手くはないが自分の感情を乗せたボーカルも含め、
篠塚さんの人間性が良くわかる音楽。

このアルバムは聴き手に強要をしない。
「思っていることを音楽にするから、聴いてくれなくても良いよ」
「聴いてくれたとしても、どんな感想を持つかは君の自由だよ」
そんなメッセージを受け取った。
音楽を必要としていない人でも違和感なく聴ける。そんな優しい一枚です。

評価:B

① 優しくない歌
② 明日のハッピーエンド
③ 僕らのミュージック
④ 無自覚なプラットホーム
⑤ 水たまりの成分
⑥ 普通の歌
⑦ 優先席
⑧ 白紙の地図
⑨ サウンドチェック
⑩ 奇跡
⑪ 無罪と罰
⑫ 自己嫌悪のターミナル
⑬ 2月11日



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テーマ : 男性アーティスト
ジャンル : 音楽

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プロフィール

S.S

Author:S.S
1990年生まれ。愛知県出身。東京都在住。
音楽に生かされている人間です。
どれだけ続くかわかりませんが、邦楽のアルバムレビューをしていきます。

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