稲葉浩志「Singing Bird」~頂点に立つ男の孤独~


稲葉浩志Singing Bird」(2014)

モンスターロックユニット B'zのボーカル、稲葉浩志さんの5枚目のソロアルバム。
始めに断っておくと、僕はB'zの熱心なファンではない。(アルバムが出たら、とりあえず借りる程度)
しかし、「ミュージックステーション」を見たのがきっかけで、このアルバムを聴いてみることにした。
今年で50歳を迎えるのに、若いころと変わらないボーカルの稲葉さんには尊敬してしまう。
ところで、「Singing Bird」と名付けられたこのアルバム、鳥というよりは肉食動物のイメージの稲葉さんだが、
実は、内面はとても繊細な人なんだなと感じさせるアルバム。


アコギの弾き語り曲「ジミーの朝」でアルバムはスタート。

「俺はまだ生きている そして明日は必ずやってくる」

「まだ」生きていると言われると、死ぬのを望んでいるように聴こえてしまう。
けど、「必ず」明日はやってくると歌う。この不安定感は男らしい稲葉さんのイメージからは意外。

本田圭祐選手が出演するCMソング「oh my love」
シンプルな歌詞と、聴きやすいサウンド。このアルバムで一番ポップな曲。

やたら、上手いギターソロが聴きどころの「Cross Creek」

「眩しいほど愛に溢れるけど 悲しいほど愛に飢えてもいる」

全てを手に入れてしまったような人がこういうことを歌うと、
どんな立場にいても悩みは尽きないんだなと再認識する。

エレクトロなサウンドを導入した「Golden Road」
力強いメッセージが特徴の一曲。

「信じた道だけ行くために 僕らは生まれて来たんだろう」

そう思えるのは成功者だからだよ、と言いたくなる僕は多分ひねくれている。

ピアノの音色と荘厳なストリングスが特徴の「泣きながら」
泣いてしまうような一日を過ごしても、翌日は新しい一日が始まるよという曲。
しかし、稲葉さんの歌はバラードでも別格。

B'zで歌っていても違和感のない「Stay Free」
稲葉さん程の地位にたどり着いた人間が、自由を

「ぞっとするほど寂しくて 狂おしいほど美しいもの」

と表現しているのには考えさせられる。
有名になりすぎると、プライバシーもないし、自由とは無縁の生活になるんだろうな。

歌謡曲的なムードがある「Bicycle Girl」
歌詞は、凄く若さを感じる。自転車とは何とも庶民的な。

これは曲名が全てでしょう。「孤独のススメ」

「たまにはひとりで寂しく強く考えてみてよ」

群れてばかりいるんじゃないよと。
結局は、自分で考え出した答えが一番頼りになる。

前曲とのギャップに驚く「友よ」
孤独を勧めた後の曲が、「友よ」って・・・

「人生が悪くないと思えるのはキミがいるからだよ」

なんか、釈然としないな。このどっちつかず感が人間らしいのかな。

夏に聴きたくなる爽やかさの「photograph」
シンプルなサウンドが好印象。
歌詞は、大切な人を失った人の気持ちを歌ったと思われる。

間奏のハーモニカが印象に残る「ルート53」
この曲も夏のイメージ。特に夏休みの風景が思い浮かぶ。
地元について歌っている曲。居場所があるって素晴らしい。

ラストは力強いピアノの音が特徴のミドルテンポナンバー「念書」
中盤の転調がドキッとする。

「どんな結果にも目を背けない 誓ったらただ今を生きるのみ・・・」

もはや、考え方がプロアスリートっぽい。
「人事を尽くして天命を待つ」ということか。やはり、格好いいな稲葉さん。


通して聴いた感想は、B'zより聴いてて疲れないなというのが第一印象。
サウンドが大人しめで、稲葉さんのボーカルを強調させているからだと思われる。
B'zだと、「パワフルな稲葉さんのボーカル+パワフルな松本さんのギター」なので聴くのに体力がいる。
今回のソロアルバムは、肩の力を抜いて聴くことができる。

ソロアルバムということで、稲葉さんのパーソナルな感情が歌詞にも強く表れている。
一言でいえば、「第一線で戦う男の孤独」を歌っているような気がするんだけど、
正直、成功している人間がこれほどまで「孤独」を歌ってしまうと、逆に胡散臭さを感じてしまう。
トップの人間には、トップなりの苦労があるということか。味わってみたい気もするけど。

ハードロックが大好き!という人には向かないアルバムだが、
人間「稲葉浩志」の歌が聴きたいという人にはオススメのアルバム。
個人的には、サウンド面でもっとB'zとの違いを感じさせる曲があればなと思ったりした。
ソロなら、ソロでしかできないことをやってほしい。

評価:C

① ジミーの朝
② oh my love
③ Cross Creek
④ Golden Road
⑤ 泣きながら
⑥ Stay Free
⑦ Bicycle Girl
⑧ 孤独のススメ
⑨ 友よ
⑩ photograph
⑪ ルート53
⑫ 念書



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テーマ : 男性アーティスト
ジャンル : 音楽

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プロフィール

S.S

Author:S.S
1990年生まれ。愛知県出身。東京都在住。
音楽に生かされている人間です。
どれだけ続くかわかりませんが、邦楽のアルバムレビューをしていきます。

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