フジファブリック「フジファブリック」~世界よ、これが日本の四季だ。~


フジファブリック「フジファブリック」(2004)

今年でメジャーデビュー10周年を迎えた、フジファブリックのメジャー1stフルアルバム。
日本に訪れる外国人旅行者に、日本に来る前の予習として、聴いてほしい一枚。
一般的に、外国人に日本の四季を説明するには、桜の写真を見せたりするのが定番だと思う。
しかし、このアルバムを聴くことで、日本の四季を感じることができる。
「百聞は一見に如かず」だって? とりあえず、聴いてみよう。


日本の四季は、「桜の季節」である春から始まります。
ダンサンブルなこの楽曲で、ボーカルの志村さんはこのように歌っています。

「桜のように舞い散って しまうのならばやるせない」

桜はいずれ、枯れてしまいます。だからこそ美しいのです。
日本人は桜で、一年の始まりを感じるのです。

春の次は、夏がやってきます。夏に日本を襲うのが「TAIFU」です。
この曲の力強いグルーブ感のように、吹き荒れる台風がやってきて、ときには大きな被害を生みます。

また、夏は日本の子供にとって最大のイベント、夏休みがやってきます。
そんな夏休みの風景を描いたのが、「陽炎」という曲です。

「隣のノッポに借りたバットと 駄菓子屋にちょっとのお小遣い持って行こう」

みんなで野球をしたり、駄菓子屋に行ったり、子供のころの夏休みにしかできないイベントがたくさんあります。
だからこそ、大人になると、

「残像が 胸を締め付ける」

切ない気持ちになるのです。

また、汗をかきながら追いかけっこするのも良いかもしれません。
「追ってけ 追ってけ」はそんなイメージでしょうか。
ゆったりとしたリズムが、夏の蒸し暑さを感じさせます。

そして、夏の風物詩といえば、「打上げ花火」でしょう。
この曲後半の激しいドラムのように、大きな花火が夜空に向けてたくさん打ち上げられます。

「運ばれてくるのは 焦げ臭い香りだ」

これが、また良いんです。

熱帯夜には、怪しい人達も現れます。「TOKYO MIDNIGHT」ではそんな東京を歌っています。
歌詞は短いですが、サウンドの怪しさだけで、夜の繁華街のイメージが湧いてしまいます。

季節は秋へと移っていきます。秋の「花」は美しいものが多いです。
日本の秋を代表する花といえば、コスモス(別名:秋桜)でしょうか。

「花のように儚くて色褪せてゆく 君の笑顔を見た日のことも」

花はやはり、散ってしまうからこそ美しい。
笑顔もずっと笑顔だったら、何も思わないです。たまに見せる笑顔が良いと思うのです。
そんな笑顔も、いずれ忘れてしまうのが悲しいところですが。

秋は色々なことをやってみるのに良い季節です。
音楽の秋、旅行の秋、そんな秋を歌ったのが「サボテンレコード」という曲です。
車に乗りながら、音楽を聴く。私も大好きです。

忘れていました。秋といえば「赤黄色の金木犀」の香りの印象が強いのではないでしょうか。
切ないメロディのこの曲で、

「赤黄色の金木犀の香りがして たまらなくなって なぜか無駄に胸が 騒いでしまう帰り道」

と志村さんは歌います。
香りと記憶は結びついてることが多い気がします。
子供のころに、嗅いだ臭いを大人になってから嗅ぐと、その時の記憶がフラッシュバックされることがあります。
金木犀の香りは、子供のころの切ない記憶を思い出させるのではないでしょうか。

秋も終わり、冬。寒い中ですが、「夜汽車」に乗ってみるのはいかがでしょうか。

「夜は更けていく 明りは徐々に少なくなる」

夜の時間が長くなるのが、冬の特徴の一つで、この季節に多くの生き物は、春に備えて冬眠をします。
厳しい冬があるからこそ、明るい春がやってくるのです。


1stフルアルバムにして、フジファブリックというバンドの個性が凝縮された名盤。
サウンド面では、疾走感あるギターロックはもちろん、
独特の怪しさを持つ曲もあり、様々なジャンルの音楽を盛り込んだセンスが光る。
フジファブリックの音作りの鍵は、金澤さんが弾くキーボードだと思う。
特に、「陽炎」では後半のキーボードソロが凄く切なさを表現していて、
疾走感あるキーボードの音色って格好いいんだなと、僕に気付かせてくれた。

そして、フジファブリックの魅力といえば、志村さんが書く独特の歌詞。
日本的なものを強く感じるのが特徴の一つ。日本語の美しさを再認識させてくれる。
また、五感で感じたものを表現するのが非常に上手い。
目で見たものや、臭いといったものを歌詞で表現することで、聴き手にイメージを湧きたてる。

僕は外国の人におすすめのバンドを聴かれたら、迷わずフジファブリックを挙げる。
(名前に富士が入ってるのもポイントの一つかも)
その中でも、日本の四季を感じることができるこのアルバムをおすすめする。
聴いていると、日本に住んでいて良かったなと実感する名盤。

評価:S

① 桜の季節
② TAIFU
③ 陽炎
④ 追ってけ 追ってけ
⑤ 打上げ花火
⑥ TOKYO MIDNIGHT
⑦ 花
⑧ サボテンレコード
⑨ 赤黄色の金木犀
⑩ 夜汽車




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テーマ : 男性アーティスト
ジャンル : 音楽

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プロフィール

S.S

Author:S.S
1990年生まれ。愛知県出身。東京都在住。
音楽に生かされている人間です。
どれだけ続くかわかりませんが、邦楽のアルバムレビューをしていきます。

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