Base Ball Bear「二十九歳」~【普通】ってなんですか?~


Base Ball Bear二十九歳」(2014)

前作の「新呼吸」から約2年半ぶりとなる、Base Ball Bearの5枚目のアルバム「二十九歳」。
16曲、70分越えというボリューム。いま、小出さんには伝えたいことがたくさんあるようだ。
タイトルに年齢をつけた、アルバムといえば、彼らの2枚目のアルバム「十七歳」が思い浮かぶ。
「十七歳」では思春期の感情を歌いあげたが、「二十九歳」はまさに、「人生」について歌った作品。
キーワードは「普通」。


爽やかなギターで幕を開ける「何才」

「僕と君 君と僕の そのあいだに何がある」

「何才」と言うタイトルと、この歌詞から連想されたのは、ジェネレーションギャップ。
ある世代の「普通」と、それより一回り上の世代の「普通」には大きな違いがあって、
それが、ジェネレーションギャップという壁を作る。
50年代や60年代生まれの人からしたら、90年代生まれの僕達は得体の知れない存在なのかな。

アダルトな雰囲気を醸し出す「アンビバレントダンサー」
この曲はタイトル通り、両極端な感情を描いて、「普通」とは何かを問いただす。

「なんてアンビバレンス どちらとも言えず 明日は一体どこに向かうのか 忘れたいなら踊れ」

そんなこと考えてるくらいなら、踊れ!っていうメッセージを受け取ったけど、
色々と考えちゃうのが、人間。

プロ野球のテーマソングに使われた、「ファンファーレがきこえる」
この曲を聴くと、自分の人生は映像化できるのだろうか?、と考えてしまう。
本当に、「普通」の人生を歩んできたので、映像化しても売れないだろうな。

どこか、ハードロックなギターリフが特徴の「Ghost Town」

「ここじゃないどこかへ逃げだそうぜ 僕がまだ僕でいるうちに」

一つの場所に長くいると、周りの人に自然と染められて、「普通」の人間になってしまう。
変わりたいと望むなら、まず環境を変えてみることをオススメ。

ムーディーな歌いだしから始まる「yellow」
「黄色」の僕の勝手なイメージなんだけど、個性が強い色で、服として身につけるにも勇気があるイメージ。
イメージカラーが黄色の人には、憧れる。

王道ロックンロールサウンドの「そんなに好きじゃなかった」

「特に不満もないし、イヤなところないけどなんていうかさ・・・・・・そんなに好きじゃなかった。」

結構ありがちな、「普通」のフラれかたかも。

「あー女って何だ?!」


コラボ曲の「The Cut -feat. RHYMESTER-」、カッティング+ラップは気持ちいい。

「この世界の正体は僕らのeyes」

見えてるものが、自分にとっての「普通」だったり。
人は自分が意識するものを積極的に見ようとする生き物。(いわゆる、カラーパス効果)

瞬く間に終わってしまう「ERAい人」
「多数派=偉い」という空気感への違和感を歌った曲かな。

浮遊感あるサウンドと小出さんの泣きそうな歌が印象に残る「方舟」

「僕以外間違いか 僕が間違いか 気にしたり 気にしたり くり返して」

周りの大多数の人と、自分が違う感情を持つと、不安になるよね。

中盤の湯浅さんのギターソロがメロディアスな「The End」
「終わり」っていう言葉も、割と曖昧な定義だと思ったりする。
人間にとっての「終わり」は「死」だと思うけど、その先がどうなっているか知ってる人はいないわけで。
実は、まだその先があるような気がする。むしろ、そうあってほしい。

サビの関根さんの浮遊感あるコーラスが印象的な「スクランブル」

「本当と嘘と 過去と未来と 表と裏が ランブル」

「アンビバレントダンサー」と似た世界観。
色々と交わる世界で、どう自分らしさを出していくか。

イントロの早弾きギターが聴きどころの「UNDER THE STAR LIGHT」
このスピード感で、駆け抜ければ、周りの目なんて気にならないんじゃないかな。

お待たせしました、夏い曲。「PERFECT BLUE」
「夏=boy meets girl」というイメージは、僕がベボべを聴き始めたことで植えつけられた「普通」。

10分近い大作「光蘚」
このアルバムの中でも、際立つ歌詞の重さ。

「僕は這いつくばって そうだ 這いつくばって 輝くしかないから」

光輝くには、どれだけの犠牲が必要なのだろう?

仰々しいタイトルの一方で、爽やかなサウンドの「魔王」

「いないことにされてた 僕の呪いが 君の傷を癒す お呪いになりますように」

お呪いは「おまじない」と呼ぶ。
異端なことを歌っても、誰かのもとに響いて、それが伝染すれば、「普通」になる。
シーンに祭りあげられて、スタンダードになるんじゃなくて、
じわじわと伝染していくような形で、スタンダードを目指すという、小出さんの意思を感じる楽曲。

ラストはカントリーソング「カナリア」

「帳尻あわせて 折り合いをつけつづけてさ それでも 自分を信じられることがあるから 救われるよな」

自分を信じること=自分にとっての「普通」。
ところで、このアルバムの終わり方が、ボサノバ風の「気付いてほしい」で終わった、
「十七歳」との類似性を感じたんだけど、どうなんだろう。


70分を超えるアルバムだけど、様々なバリエーションの楽曲が入っていて、飽きない。
サウンド面では、いわゆる「ギターロック」というよりも、
古き良き時代の「ロックンロールバンド」になったような印象。
(特に「Ghost Town」や「そんなに好きじゃなかった」のような、ギターリフが印象に残る楽曲)
ノリが第一で、ライブで盛り上げるために、BPMをどんどん速くしていくバンドが多い中で、
あえて、違う方向で「ロックバンドとしての音」を鳴らすという選択をする。まさに「普通」への違和感が生んだもの。

歌詞面では、かなり小出さんの感情や、主張が表現されている。
特に、「普通」への違和感、「曖昧さ」の表現、みたいなものがテーマになっていると感じる。
1stアルバムや2ndアルバムで、「青春」を歌っていたことが遠い昔のことに思う。
30歳が近くなれば、色々なことを考えてしまうものらしい。

小出さんの強い想いと、Base Ball Bearのバンドとしての成熟が、伝わる作品。
傑作アルバム「新呼吸」のあとに、これだけの濃度を持った作品を続けて出すのは相当、大変だと思う。
今後の活動が、不安になってしまうレベルの完成度。燃え尽きてしまうんじゃないか。杞憂であってほしい。
「二十九歳」というアルバムタイトルだけど、全年代に聴いてもらいたい一枚。

評価:A

① 何才
② アンビバレントダンサー
③ ファンファーレがきこえる
④ Ghost Town
⑤ yellow
⑥ そんなに好きじゃなかった
⑦ The Cut -feat. RHYMESTER-
⑧ ERAい人
⑨ 方舟
⑩ The End
⑪ スクランブル
⑫ UNDER THE STAR LIGHT
⑬ PERFECT BLUE
⑭ 光蘚
⑮ 魔王
⑯ カナリア

「俳優、湯浅将平!」


「short hair」に続いて、本田翼さん。相変わらず、可愛い。



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テーマ : 男性アーティスト
ジャンル : 音楽

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初コメです!

初めまして!僕もBase Ball Bearがとても好きで、ふとアルバムレビューを検索し探していたところ、こちらのブログを発見し以前のレビューも含む何記事かを読ませていただきました。読んでいてとても分かりやすく、作品を聴き感じた自分の持つ感想とS.Sさんの感想の差異や共感出来る部分をたくさん見つけ非常に良い経験になりました、ありがとうございます。

『二十九歳』、本当に素晴らしいアルバムだと僕も思います。今後もずっと付き合っていく事になるんだろうなあっていう。笑

ところで、8曲目『ERAい人』の「ERA」というのは「(重要な)時代」というような意味合いらしいです、『The Cut』にも出てきますね。

14曲目『光蘇』の歌詞は友達のサカナクションのボーカル山口一郎さんの事を書いたんだと小出さんが言及していたような記憶がありますね。

長々とすみません!今後も楽しく読ませていただきます!ではでは。

Re: 初コメです!

コメントありがとうございます!

ベボべ愛が伝わってくるコメントで、とても刺激を受けました。曲に隠された意味までは、押さえきれなかったのでとても勉強になります!
今後も、のんびりと更新していきますのでよろしくお願いします。



> 初めまして!僕もBase Ball Bearがとても好きで、ふとアルバムレビューを検索し探していたところ、こちらのブログを発見し以前のレビューも含む何記事かを読ませていただきました。読んでいてとても分かりやすく、作品を聴き感じた自分の持つ感想とS.Sさんの感想の差異や共感出来る部分をたくさん見つけ非常に良い経験になりました、ありがとうございます。
>
> 『二十九歳』、本当に素晴らしいアルバムだと僕も思います。今後もずっと付き合っていく事になるんだろうなあっていう。笑
>
> ところで、8曲目『ERAい人』の「ERA」というのは「(重要な)時代」というような意味合いらしいです、『The Cut』にも出てきますね。
>
> 14曲目『光蘇』の歌詞は友達のサカナクションのボーカル山口一郎さんの事を書いたんだと小出さんが言及していたような記憶がありますね。
>
> 長々とすみません!今後も楽しく読ませていただきます!ではでは。
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Author:S.S
1990年生まれ。愛知県出身。東京都在住。
音楽に生かされている人間です。
どれだけ続くかわかりませんが、邦楽のアルバムレビューをしていきます。

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