Mr.Children「REFLECTION{Drip}」~未完での帰還~



Mr.Children「REFLECTION{Drip}」(2015)

「最高傑作」、そんな言葉が音楽雑誌に並んでいた。このレベルのバンドに軽々しく使えない言葉である。
この作品には、14曲を厳選した{Drip}と23曲をUSBに詰め込んだ{Naked}の2形態で発売されることでも話題になった。
私が購入したのは、{Drip}なので14曲をレビューする。(1曲250円で{Naked}収録曲を購入出来ます。私は購入しました。)
間違いなく、近年の彼らのアルバムでは一番良い。曲の持つエネルギーが違う。
バンドとしての「ミスチル」が帰って来た。未完のままでね。



いきなりシングルカットできるレベルの名曲「未完」 
力強い桜井さんのボーカルに応えるようなバックの演奏。ミスチルがバンドであったことを思い出させてくれる。

「いっそ飛べない鳥の羽なんか もがれちまえばいい」

サビの印象的なフレーズ。これはぼやきであり、ほざきである。前に進むには自分で扉をノックし続けなければならない。
ラストサビの「自由」3連発が胸に迫る。

アップテンポなギターロック、こんなミスチル待ってました「FIGHT CLUB」
ブラット・ピット出演の「ファイト・クラブ」をモチーフに作られた楽曲。
間奏がしっとりしたギターソロなのが残念、疾走感のある楽曲なんだからギターソロで加速させてほしかった。

レトロな感じの印象的なイントロが耳に残る「斜陽」
いままでのミスチルには無かったようなタイプの楽曲で新鮮。
メロディは比較的平坦でありながらも、アコギのストロークが力強く、前に進む推進力を感じる。

今作では最もパブリックイメージなミスチルの楽曲「Melody」
要はコバタケ色が強いということで、今作では浮いている。(小林武史は今作も数曲プロデュースしている)
こういう路線が好きなファンもいると思うけど、せめて{Naked}の方に収録してほしかった。

ピアノイントロから始まるということで、こちらもコバタケプロデュースの「蜘蛛の糸」
バラード曲であれば、彼のピアノは良い働きをしてくれる。間奏の物寂しいピアノの音色は美しい。
「運命の赤い糸」とはよく言うけど、恋愛曲に「蜘蛛の糸」とつけるセンスが桜井さんらしい。

2015年7月公開、細田守監督の「バケモノの子」の主題歌「Starting Over」
ミドルテンポの楽曲に乗っかる、強いメッセージ性が特徴。

「肥大したモンスターの頭を 隠し持った散弾銃で仕留める」

たくさんの子供が見るであろう、アニメ映画の主題歌の冒頭がこれである。
サビは凄く前向きな歌詞なのに、所々狂気すら感じるフレーズが入っているのが印象的。

バラード曲だが、コバタケプロデュースではない「忘れ得ぬ人」
曲名通り、過去の恋愛に囚われる男の歌である。
間奏に短めではあるがギターソロが入っている。ミスチルのバラード曲でギターソロを聴いたのはいつ以来だろうか。

タイトルトラックである「Reflection」
桜井さんがピアノ演奏して作成した、インスト曲。

CMで耳にした人も多いであろう、今作屈指の名曲「fantasy」
イントロが過去の名曲「innocent world」をなんとなく思い起こさせる。
サビの開放感が気持ちいい。キーが高いので桜井さんの喉が心配になるが。

「想像を超えた猟奇殺人さえ今や日常 ドキュメンタリー いちいち心動かないよ 免疫ができ右から左」

2番Aメロのこのフレーズや、Cメロの歌詞に桜井さんの現代に込めたメッセージを感じる。

今作で最も攻撃的で、桜井さんの絶唱が印象的な「REM」


過去のアルバムでいうと「DISCOVERY」に入っていそうな、エレクトロなサウンドが融合した楽曲。

一部で、「就活生殺し」と話題になった、前曲に引き続きダークな「WALTZ」

「一人そしてまた一人 はじかれて 繰り返される審査に離脱者は増える」

とか、

「柔軟なとこが長所さ 履歴書のとおり 違う視点で見れば自分がないだけ」

ここら辺か。もう数年前に聴いてたら、刺さったかも。就活にしても氷河期は脱してるし。

ギターイントロ→ピアノという入りが従来とは逆で、新鮮なバラード「進化論」

「変わらないことがあるとすれば 皆 変わっていくことじゃないかな?」

今作で一番グッときたフレーズ。

バンドサウンドがしっかりと噛み合ったイントロから、明るいメロディが心地よい「幻聴」
そんなにテンポの速い楽曲ではないけど、勢いを感じるのはドラムが力強いからか。
ラストのコーラスに希望を感じる。

今作のラストは月9に主題歌になった「足音 〜Be Strong」


この曲は彼らにとって初のセルフプロデュースとなった。そういう意味でも大きな一歩を踏み出した重要な曲。
シングルで聴いたときはピンとこなかったが、ラストで聴くと映える。
素直に前を向いて、歩いていこうと思える。


前作「[(an imitation) blood orange]」はストリングスまみれの楽曲ばかりで、バンドの作品とは言えなかったのに対し、
今作は力強いバンドサウンドが聴ける楽曲が多く、安心したファンが多いのでは。
特に前半3曲と、「fantasy」以降の後半の楽曲は若々しいサウンドで、90年代の彼らの楽曲を思い起こさせた。
おそらく、バンドサウンドが戻って来たというだけで、一定の評価を手に入れた作品だと思う。

曲に力強さが増したことも影響しているのか、桜井さんが書く歌詞にも力強さが増している。
基本的に、前を向いたメッセージ性の強い楽曲が多く、桜井さんが歌っていて楽しそうだなと。
所々、メッセージ性の強い歌詞もあるのは、国民的バンドが歌わなければ届かないからか。
数多くの人間の期待を背負っている、Mr.Childrenというバンドを動かすのはとんでもなく大変だなと思う。

ここ最近では、一番のアルバムであるのは間違いないが、まだ上があるんではないかとも思う。
中盤のバラード曲に、過去の名バラード「HERO」、「Sign」級の楽曲があれば・・・。
この作品は完全にセルフプロデュースではない。小林武史の手を完全に離れたアルバムをいつかは見たい。
そのいつかが来た時が、バンド「Mr.Children」が完成する時ではないかと思う。
いずれにしても、2015年の音楽シーンを語る上で外せない一枚。

評価:A

1. 未完
2. FIGHT CLUB
3. 斜陽
4. Melody
5. 蜘蛛の糸
6. Starting Over
7. 忘れ得ぬ人
8. Reflection
9. fantasy
10. REM
11. WALTZ
12. 進化論
13. 幻聴
14. 足音 ~Be Strong



関連記事

テーマ : 男性アーティスト
ジャンル : 音楽

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

S.S

Author:S.S
1990年生まれ。愛知県出身。東京都在住。
音楽に生かされている人間です。
どれだけ続くかわかりませんが、邦楽のアルバムレビューをしていきます。

twitterのアカウントあります。
フォローいただけると、嬉しいです!

Feedyに追加
follow us in feedly
S.Sのつぶやき
カテゴリ
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる